天体カメラのスペック考・今さら聞けない?!(1)「ダイナミックレンジ」とは
「ダイナミックレンジ」とは何でしょうか?上の画像を見てください。QHYの冷却CCDカメラ、QHY90Aで撮影した画像です。ほとんど飽和寸前の明るい星の中心部から、ほとんど真っ黒な暗黒星雲の中まで、様々な輝度値を持つピクセルが存在します。
この画像はRGB画素の「各8bit」で表現されています。そう、「たったの」8bitです。最終画像はRGB各色8bitあれば実は十分なのです。
にもかかわらず「CCD(CMOS)センサーのダイナミックレンジは広いほど良い」「16bitはすごい」という論調で語られるのはなぜなのでしょうか?それにはちゃんと答があるのですが、長くなるのでここでは割愛します。
それ以前に、そもそもイメージセンサーにおける「ダイナミックレンジ」とは何なのでしょう?その基本中の基本を説明する動画を作っています。
1個のセンサー画素が光を受け、それを電気信号に変換するプロセスの中で、それを阻害する要因は何か。ダイナミックレンジを決める・または制限する要因は何か。そんなことをできるだけわかりやすい言葉で説明したつもりです。ぜひご視聴ください。
QHY16200AオールインワンCCDカメラ(CFW5仕様)(APS-H1620万画素16bitモノクロCCD)
QHYCCDの冷却CCDカメラ「QHY16200A」の場合、最大飽和容量(Full well)は25500電子。この値は14bit=2の14乗=16384よりも大きく、16bitの階調を表現(とうか取得)可能な冷却CCDならではのスペックといえるでしょう。
実際の天体撮影の中では、ダイナミックレンジは様々な要素に左右され、素材画像の処理方法や技術によっても変わってきますが、カメラ自身の性能に余裕があることは多くの意味でプラスに作用するのです。